感動プロジェクト2
【お茶づくりへの想い】
1日の作業を終え、くたくたになり寝ていたOを、宿舎の管理人が慌てて起こしに来ました。
驚いて、ベランダから階下を見ると、大勢の社員が押しかけて来ているではありませんか。
「いったいどうしたんだ!?」
詰め寄る社員に尋ねると、代表した年長の社員が強い口調でこう言いました。
「あなたのやり方では、手間がかかるばかりで良いお茶なんかできっこない!このまま続けていても、我々の生活が良くなるとは思えない!」
日本式のやり方として当たり前の事が、中国の人にとっては当たり前じゃないのです。
“お茶”は自然に伸びたものを摘むだけで終わりという習慣が根付いているので、水はけの良い土地にする為の深耕作業や、雑草を1本1本手で抜くといった細部までこだわった作業が無駄な事に思えるのです。
皆の話を聞き終わると、Oはゆっくりと口を開きました。
「今、中国の物は、『安かろう、悪かろう』というイメージが強い。日本が驚くような良いお茶を作り上げて、そんなイメージを取り払いたいんだ。あなた方が毎日、一生懸命してくれている事は、半年や1年で結果がでるものではない。5年後を見た時、きっと日本の茶園を超えるような美しい茶園ができる。それを信じて頑張ってくれないか」
全員が納得して帰る頃には、東の空が白みはじめていました。
【想いの共有、そして模範へと】
その事件の後、社員の仕事ぶりが180度変りました。
「とにかく、茶作りについてはこの人の言うようにやってみよう。」と、そんな雰囲気が社員全体に広がったのです。
5年が経った頃、あの夜 茶師Oが言ったように日本にもひけをとらない美しい茶園が育ちました。
日本の高い茶園管理技術が認められ、政府から「農業環境模範茶園」の認定を受け、中国国内の農業局員や農業関係者が見学に訪れるほどになりました。
【桑の葉との出会い】
紹興は、紹興酒以外に、高級シルク製品の産地としても有名です。
「どうして他にくらべて良いシルクが取れるんですか?」と地元の人に聞くと、
「そりゃ、桑の葉が良いからだよ。」という答え。
その質の良い桑の葉は、地元の人から「神仙桑」と呼ばれています。
興味を持ち始めた Oは、桑の研究に打ち込みはじめました。日本での研究発表の資料や、栄養成分を調べると、他の野菜に見られない程、豊富なミネラルを含む事がわかったのです。
「これはすごい植物だ!」感激したOは、茶園のそばに「神仙桑」の畑を作り、育てはじめました。
桑の葉の生育は茶に非常に似ています。
これまで培った茶栽培の技術を応用して、一面に鮮やかな緑が広がる立派な桑畑を作り上げました。
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